2021年3月9日(火)
第357回 高知県議会 令和3年2月定例会一般質問【一問一答】

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)


 

1.コロナ禍における本県の医療、保健体制について
              
(1)これまでの感染拡大防止対策の取り組みについて         (知 事)
(2)福祉保健所の現状を踏まえた課題について         (健康政策部長)
(3)福祉保健所における医師や保健師など、専門職員の人員体制の現状を踏まえ
た課題について                      (健康政策部長)
(4)財政措置を含めた福祉保健所体制の強化に向けた今後の方針について(知 事)


2.障害者施設の新型コロナウイルス対策について 
 
(1)本県の障害者就労支援施設への影響について       (地域福祉部長)
(2)コロナ禍の影響を受けている障害者に対する就労支援策について(地域福祉部長)
(3)障害者生産活動支援事業の実績について         (地域福祉部長)
(4)障害者就労支援施設における個別補償制度の創設について (地域福祉部長)
(5)ワクチン接種の対象となる高齢者施設について      (健康政策部長)
(6)ワクチン接種の対象となる障害者施設について      (健康政策部長)
(7)ワクチン接種の課題を踏まえた対策について       (健康政策部長)
(8)障害者施設におけるワクチンの巡回接種について     (健康政策部長)


3.中山間地域対策について             (中山間振興・交通部長)

(1)来年度の中山間対策の強化策のポイントについて
(2)集落実態調査の目的について      
(3)集落実態調査における調査対象について     
(4)集落実態調査における市町村との連携について

4.交通安全対策における横断歩道などの点検の現状について  (警察本部長)


5.公立小中学校および県立高等学校施設のバリアフリー化について (教育長)

(1)多機能トイレの整備状況について
(2)エレベーターの整備状況について
(3)学校施設のバリアフリー化の予算措置について

 

 

1.コロナ禍における本県の医療・保健体制


■大野たつや

県民の会の大野辰哉です。議長のお許しをいただきましたので、早速、質問に入らせていただきたいと思います。
新型コロナウイルスが県内で初めて確認がされてから1年を超えました。本県においても、これまで少なからず感染やクラスターが確認されてきましたが、比較的、爆発的な感染の広がりや市中感染は抑えられてきたのではないかと思っております。
もちろん、まだまだ予断を許す状況にはありませんが、会食などさまざまな自粛活動、営業時間短縮への御協力など、多くの県民の皆様のこれまでの御協力に改めて感謝を申し上げるものでございます。

これまで、全国的にはPCR検査がなかなかできない、進まない状況の中で、本県においては、いち早く地域のかかりつけ医など、身近な検査協力医療機関において、PCR検査ができる体制を構築できたことも感染拡大防止の効果となってきたのではないかと思います。

また、そうした体制は、単に感染拡大を防止するということだけでなく、身近な地域で、医師の判断によって検査ができるという安心感を県民に与えるという効果にもつながっているのではないかと思います。

そうした取り組みへの評価も踏まえ、まず知事に、これまで本県で行われてきた新型コロナウイルス感染拡大防止対策の取り組みへの御所見をお伺いしたいと思います。


●知事

お話の感染拡大の防止には、まずは、県民の皆さんお一人お一人がマスクの着用ですとか、手洗いの励行といった健康行動をとっていただくということが必要でございますけれども、我々、行政のサイドといたしましても、1つにはリスクの高い行為を抑制することによって感染リスクを引き下げていくということ、そして、感染の早期発見の取り組みを進めていくということが重要になると考えております。

このうち、感染リスクを引き下げていくという点に関しましては、お話をいただきました飲食店などの営業時間の短縮要請、あるいは、会食の規模縮小・時間短縮などの要請に県民の皆さんに御協力をいただいたおかげによりまして、いわゆる第3波での市中感染は1月に入って減少に転じたという状況に至っているというふうに考えております。

また、感染の早期発見ということにつきましては、御指摘もいただきましたような、検査が可能な医療機関名を公表いたしまして、今でも1週間単位で見まして1,000人近くの症状を有する方々が速やかに検査を受けられるという体制ができておりますのも、医療機関の皆様の御協力の賜物だというふうに感謝をいたしているところでございます。

このように、県民の皆さんがそれぞれの立場で、コロナに立ち向かう行動にともに取り組めたということが、感染拡大防止に極めて有効であったというふうに考えておりまして、県といたしまして、今後とも、引き続き、適切な情報提供をさせていただくということ、そして、時機を得た支援策を実施していくということに努めてまいりたいと考えております。


■大野たつや

知事初め、対策本部会議、健康政策部、医療機関など関係各位の皆さまのこれまでの御尽力に、改めて敬意と感謝を申し上げるものでございます。

そうした取り組みの中において、特に、福祉保健所においては、県民からの相談先、窓口としての対応に始まり、陽性者の入院や宿泊療養先の調整、濃厚接触者への対応、積極的疫学調査の実施、医療機関との連携協議、クラスターへの対応など、まさにコロナの現場の最前線で、対策の中心的な役割を果たしてこられました。

全国的にも業務の増大による保健所職員の労働過多や負担などが課題となっていますが、新型コロナウイルス対策の最前線で頑張られている本県の福祉保健所の現状を踏まえた課題について、健康政策部長にお伺いしたいと思います。


●健康政策部長

これまで現場の最前線にある福祉保健所におきましては、所内横断的な体制を組んだり、また、クラスターの発生などによって一時的にマンパワー不足が想定された際には、本庁や隣接の福祉保健所からの保健師の応援派遣、あるいは、既に退職をされた保健師の雇用などを行って、何とか対応してきたところでございます。

ただ、今後、複数の福祉保健所で同時に多数のクラスターが発生したり、より大規模なクラスターが発生、また、自然災害など他の健康危機管理事象と重なった場合には、そうしたこれまでの応援体制をとってもなお厳しい状況が想定されるところでございます。そのように、さらに厳しい状況となった場合にどう対応するかというのは、課題だと考えております。



■大野たつや

新型コロナウイルス感染症によって、改めて保健所の存在がクローズアップされることとなりましたが、保健所は、新型コロナだけでなくさまざまな感染症への対応を初め、母子保健、精神保健、食品・環境衛生、医療機関との連携協議など、その業務内容は、公衆衛生全般に幅広く多岐にわたっており、県民、住民の命と健康を守るためのセーフティネットの役割を果たしている大変重要な機関でもあります。

そうした一方で、平成6年の地域保健法が施行により、専門的、広域的な業務を県の保健所が担い、住民に身近な保健業務を市町村が担うこととなり、また、この間の行政改革によって全国で約4割の保健所が統合や縮小などにより削減され、本県においても、平成6年当時に10カ所あった県の保健所は、その全てが現在、福祉事務所と統合され、安芸、中央東、中央西、須崎、幡多の5福祉保健所体制となっています。この間、そうした行政改革の矢面に立たされてきた福祉保健所ですが、新型コロナによって現場に従事する医師や保健師といった専門スタッフの重要性を改めて認識させられることともなりました。

そこで、本県の福祉保健所における医師や保健師など、専門職員の人員体制の現状を踏まえた課題について、健康政策部長にお伺いしたいと思います。


●健康政策部長

まず、福祉保健所の公衆衛生医師につきましては、本庁にも公衆衛生医師が必要なことから、5つの福祉保健所に4名の公衆衛生医師しか配置ができておらず、1名には兼務をして2つの福祉保健所管内を見ていただいているという状況となっています。また、年齢の高い医師もおりまして、先行きも大変厳しい状況ということでございます。

一方、保健師につきましては、本県では、保健師が地域福祉などの福祉事務所業務も担っておりますから、1福祉保健師当たりの保健師数で言いますと、平均12人となっておりまして、四国の他の3県と比べて若干多いという状況にございます。ただ、今回の新型コロナウイルス感染症への対応といった事案に対応するには、十分と言えない数だと受けとめています。加えて、近年、ちょうど新陳代謝でベテランが退職をして経験年数の浅い保健師がふえているという状況でありましたことから、感染症への対応技術を初め、スキルアップが課題だというふうに考えております。


■大野たつや

保健所の体制整備の必要性については、国の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議からもたびたび指摘がされ、また、地方財政審議会においても、保健所の人員の増員・体制強化を図るための地方交付税の増額などの財政措置についての議論もされるなど、新型コロナウイルスが教訓となり、全国的にも保健所体制の強化、整備に向けての議論が行われるようになってきております。

そこで財政措置を含めた本県の福祉保健所体制の強化に向けた今後の方針について、知事にお伺いしたいと思います。


●知事

福祉保健所の、まず、保健師についてでございますけれども、昨年末に令和3年度の地方財政対策が発表されておりますが、この対策の中で、保健所の恒久的な人員体制の強化につきまして方針が示されております。具体的には、保健所の感染症対応業務に対応、従事いたします保健師の人員体制を強化いたしまして、令和3年度から2年間で現行の1.5倍にするための地方財政措置を講ずるということが示されているところでございます。

こうした方針を受けまして、令和3年度につきましては、現実問題としてなかなか保健師さんの採用・育成、直ちに対応というのが難しい部分もございますので、配置先といたしまして、本庁などから福祉保健所のほうにシフトをして、福祉保健所の現場を手厚くするというような対応・指示をいたしているところでございます。

令和4年度につきましては、新たに保健師を採用した上で、感染症を担当いたします福祉保健所の保健師をふやすということを検討してまいります。

こうしたことを通じまして、新型コロナウイルスを初めといたしまして、新たないわゆる新興感染症にも対応できるような、必要な人員の確保に努めてまいります。

また、保健師はもちろんでありますが、平時は他の業務に従事をいたします保健師以外の技術職員につきましても、いわゆる有事には必要な対応ができるように、研修などを通じて人材育成を図ってまいります。

一方で、厳しい状況にあります公衆衛生医師の確保についてでございますが、高知大学を初めといたしまして、医学部を有する大学と連携を強めていくということとあわせまして、医学生あるいは若手医師に対しまして、公衆衛生医師の魅力を発信するといったことを含めまして、さまざまな取り組みを行いまして、引き続き、人材の確保に努めてまいる所存であります。


■大野たつや

平時から福祉保健所がその役割を十分に発揮できるよう、医師や保健師の確保や増員、恒常的な人員体制に向けた財政措置などについて、要請をさせていただいておきたいと思います。

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2.障害者施設の新型コロナウイルス対策について


■大野たつや

次に、障害者施設の新型コロナウイルス対策についてお伺いしたいと思います。

今、障害者の就労支援施設の多くが、新型コロナウイルスの影響による収入の減少などによって、苦境に立たされています。

昨年10月に、障害者支援事業所の全国連絡会が行った調査によると、調査対象となったB型の事業所のうち、その6割を超える事業所が減収となっていることがわかりました。

減収の原因としては、取引先の生産活動の低下で、委託の仕事が減少していることや、貴重な販路、収入源でもあるバザーなどのイベントの多くが中止となり、売上が減少していることなどが理由とされています。調査は第三波の前でもあったことから、現状はさらに厳しくなっていると考えられます。
そこで、新型コロナウイルスによる本県の障害者就労支援施設への影響について、地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

●地域福祉部長

県内に202カ所ございます就労継続支援B型事業所を対象に、令和2年の生産活動収入について、先月調査を実施いたしました。その結果、回答のありました57の事業所の平均生産活動収入は、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた3月以降12月までで、前年同期比で約10%の減少でございました。特に、4月と5月は前年比で約25%の減少、6月から9月にかけまして約14%の減少となるなど、大きな影響を受けておりましたが、10月以降は概ね前年並みに回復している状況でございます。


■大野たつや

支援施設の中でもB型の事業所については、その利用者は給与でなく作業に応じた工賃の支払いを受けるという特殊性から、国の雇用調整助成金や休業手当などの保障が受けられないことから、新型コロナによって、さらに厳しい状況となっていることが考えられます。

そこで、新型コロナウイルスの影響を受けている障害者に対する本県の就労支援策について、地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

●地域福祉部長

就労継続支援B型事業所の生産活動収入が減少し、利用者の工賃にも影響が出ていたことから、国において、障害者生産活動支援事業が創設されまして、県においても実施をしているところでございます。高知市においても実施がされております。

この事業は1カ月当たりの生産活動収入が、前年よりも50%以上減少、あるいは、連続する3カ月で30%以上減少した事業所を対象に、生産活動の際に要する費用等を助成しているところでございます。

しかしながら、県内では国の支援事業の対象とならない事業所が多くありましたことから、県としまして、高知市所管の事業所も含めまして1カ月当たりの生産活動収入が前年よりも30%以上50%未満減少、あるいは、連続する3カ月で10%以上30%未満減少した事業所を独自に助成する制度を創設したところでございます。


■大野たつや

次に生産活動支援事業についてですけれども、実態調査に回答された事業者のうち、補助金をできたのは全国で2割しかなかったそうであります。その理由としては、事業が利用者の賃金や工賃、職員の給与などに当てることができなかあったことが言われています。そうしたことからも、今後、新型コロナウイルスの影響を受けて減収となった工賃の補填が可能となるような、個別補償制度の検討や工賃の向上などに積極的に取り組む障害者就労支援事業所への支援の拡充など、国への政策提言についても、要請、お願いをしておきたいと思います。

■大野たつや

次に、障害を持たれている方々への新型コロナウイルスワクチン接種について、お伺いしたいと思います。

先日より医療従事者から順番に新型コロナワクチンの接種が始まり、今後、医療従事者に続いて、高齢者や高齢者以外の基礎疾患をお持ちの方々らと順番に接種が進んでいくこととなっております。厚生労働省の接種順位案では、医療従事者、高齢者に続く3番目に高齢者施設等の従事者が予定されています。

そこで、対象となる高齢者施設には、どのような施設が想定されておられるのか、健康政策部長にお伺いしたいと思います。


健康政策部長

国の通知では、対象の高齢者施設の例として、高齢者が入所・居住する介護老人福祉施設や介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホームなどが示されています。

また、3月3日に改めて通知が出されまして、訪問看護や通所介護などを行う居宅サービス事業所についても、市町村の判断や事業所の意向など一定の要件を満たす場合に対象となったところでございます。


■大野たつや

それでは、新型コロナワクチン接種にかかる高齢者施設等のうち、障害者総合支援法による障害者施設とはどのような施設が該当となるのか、健康政策部長にお伺いしたいと思います。


●健康政策部長

もともとは、障害者施設のうち、65歳以上の高齢者が入所・居住する障害者支援施設や共同生活援助事業所、福祉ホームなどが該当とされていました。しかし、高齢者施設と同様に、新たな通知によりまして、今は65歳以上の障害者に対する居宅介護や就労継続支援など訪問通所系のサービスを行う事業者も対象となっています。


■大野たつや

厚生労働省から示された当初の案では、入所施設の従事者などが優先ということでありましたけれども、現場からの声が国に届いたのか、訪問系や通所系の施設の従事者についても、市町村の判断によっては優先対象ともなり得るという改正があったということで、施設における混乱は一定解消できるのではないかと安堵しております。

そうした制度内容の変更についても、施設などへの速やかな情報提供、通知についてもお願い、要請をしておきたいと思います。



■大野たつや

さて、今回の新型コロナワクチンの予防接種については、全く新しいワクチンかつ任意接種ということで、接種にはワクチンについての正確な知識、認識も必要となります。また、障害を持たれている方々への接種については、意思確認など慎重な対応も求められ、施設のスタッフの理解や対応も必要となる場合もあると思います。

そこで、障害者施設における新型コロナウイルスワクチン接種の課題を踏まえた対策について、健康政策部長にお伺いしたいと思います。



健康政策部長

障害のある方に、ワクチン接種のメリットやデメリットなどを正確に御理解いただくために、例えば、知的障害者の方に対しては、専門的な用語や抽象的な言葉を用いず、平易な言葉で繰り返し説明するなど、障害特性に応じた対応というのが求められると考えております。

そのため、そうした障害のある方に日常的に支援を行っている、障害者施設や障害者団体の方々に御協力いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

また、国からは、障害者に係る相談体制や情報周知、ワクチン接種時における合理的配慮などの例も示されておりますので、地域福祉部とも十分に連携をしまして、市町村と一緒になって障害のある方のワクチン接種に臨んでまいりたいと考えております。



■大野たつや

医師などが施設へ出向いての投与や施設の従事者と利用者が一斉に接種するなども可能とされておりますので、現在、各市町村において、施設での集団接種なども検討がされているところでありますけれども、障害者施設においても、医師などが施設に出向いて、職員と利用者が集団接種を受けられるような体制の検討もお願いしておきたいというふうに思います。これは、要請とさせていただきます。



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3.中山間地域対策について


■大野たつや

それでは、次に、来年度予算において、本県の政策の最重点ともなっている中山間対策について、お伺いしたいと思います。

先月、私の地元でもありますが、愛媛県との県境にある、仁淀川町の奥山間地域において住宅火災が発生し、高齢者のお一人がお亡くなりになられました。心から御冥福をお祈り申し上げるものであります。

火災現場は、山里深く、集落は高齢者世帯のみが点在し、人通りもほとんどない、典型的な過疎集落であり、夜間に火事が発生しても誰にも気づかれることもないまま、翌日、夜が明けてから偶然通りかかった人が気づいたときには、火はなく、家は完全に焼けきった後で、その現場から高齢者の御遺体が発見されたとのことであります。

家火事が発生しても誰にも気づかれず、助けられることもなく、孤独に亡くなられる。奥山間地域では、過疎化高齢化によって街場では考えられないような悲しい現実が起こっています。特に、山間地域に集落が点在する本県においては、今回のようなことが、他の地域でも起こる可能性はないとは言えず、そうした意味においても、本県の中山間・奥山間対策は喫緊の課題であると思います。

県は、来年度予算で、集落活動センターの強化や、高齢者の暮らしを守るための取り組み、若者の定住化の促進など381億円余りを計上され、中山間対策の充実強化を図るとされておられます。

そこで、来年度本県の中山間対策の強化策のポイントについて、中山間振興・交通部長にお伺いしたいと思います。


●中山間振興・交通部長

来年度における中山間対策の強化策のポイントは、3点ございます。

1つ目は、集落活動センターの継続的な運営に向けた支援策の強化としまして、センターが事業を拡充する際に柔軟に活用できるよう、集落活動センター推進事業費補助金を再編いたします。

2つ目は、生活用品の確保対策として、広域で展開する移動販売事業の維持・継続に向けて、沿線15市町村と連携し、事業者の車両更新の経費を支援しまして、中山間地域における買い物環境の確保に努めます。

3つ目は、鳥獣被害対策の強化としまして、これまでの集落ぐるみの対策から、より広いエリアでの合意形成による被害対策を推進しまして、集落連携による野生鳥獣に強い高知県づくりを推進します。


■大野たつや

約10年ぶりに集落実態調査の実施ということでありますが、前回の調査では、中山間現場における課題の洗い出しなどによって、集落活動センター事業のきっかけともなるなど、大変意義のある調査だったと思いますし、地域の生の声や状況の把握、課題の洗い出しは施策の基本中の基本でもあることから、再び行われる実態調査に大変期待もしております。

今回の集落実態調査において、集落活動センター事業の検証は最大のポイントの1つだと思いますが、集落活動センターの活用によって、経済活動が活発で生産性も上がり、防災機能を備えたり、あったかふれあいセンターとの連携により福祉の向上にまでつながっているような活力のあるところもあれば、一方で、開設当初は盛り上がったものの、その後、活動が縮小してきているところ、また、これから立ち上げようと頑張っている地域などさまざまあると思います。

そうした集落活動センターの現状や課題の掘り起こしはもちろんですが、集落活動センター事業や集落活動に参加しない人、できない人がどのような理由で、地域でどのような暮らしをされているのか、また、どのようなことで困っているかなど、表に出てこない、産業や経済活動にまでたどり着けない、その向こうに隠れているところまでフォーカスが当たるような今回の調査としていただければと思っております。

そうしたことも踏まえ、改めて、集落実態調査における調査対象について、中山間振興・交通部長にお伺いしたいと思います。


●中山間振興・交通部長

今回の集落実態調査は、前回調査と同様に、今後、集落の維持が厳しくなるとされる50世帯未満の全集落を対象に、聞き取り調査とアンケート調査を実施いたします。

聞き取り調査は、地区長さんなどの集落の代表者から、集落やコミュニティ活動の実態などについて聞き取り調査を行う予定であり、調査対象は1,560集落を想定しております。

アンケート調査は、世帯主、世帯主以外に区分して、地域活動への参加状況や生活環境での不安などについて、調査票に回答していただく予定としております。

調査対象は、聞き取り調査の対象としました集落の中から、各市町村ごとに2から3集落を、市町村と相談しながら抽出する予定であり、約110の集落、5,500人を想定しております。


■大野たつや

中山間対策につきましては、今後、産業や経済活動まで行けないなど、地域によっては、生活支援や福祉的な支援に重点を置いた、あったかふれあいセンターを核とするような新たな施策の展開などにも期待をしたいと思います。

誰もがどこに住んでも安心して暮らせる高知県、新しい時代の中山間、奥山間地域のセーフティネットづくりのスタートとなるような、集落実態調査、中山間対策、施策に期待をさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。


4.横断歩道等の点検について


■大野たつや

次に、横断歩道等の点検について、お伺いしたいと思います。

横断歩道は、いわゆる交通弱者と言われる方々が多く利用されるセーフティゾーンでもありますが、現在、県内には約8,500本もの横断歩道がある中で、PTAや自治会、役場など地域からの要望や危険箇所などから優先順位をつけられて整備や補修、改良が行われていると理解をしております。

私も、毎日のように自動車で国道、県道を利用させていただいておりますが、ところどころに横断歩道やラインが見えにくい箇所があり、特に、国道33号に関しては、今後、新たな産業廃棄物最終処分場の整備に関連して、工事用車両の往来もふえることが予想されていることから、地域住民からの交通安全対策や通行危険箇所に対する御心配、御要望の声が少なくありません。

そこで、交通安全対策における横断歩道等の点検の現状について、警察本部長にお伺いしたいと思います。



●県警本部長

横断歩道など交通安全施設は、交通事故抑止に重要な役割を果たしていると認識しており、県内を定期的に点検し、計画的に、随時、補修を実施しているところであります。

今後も、適正な交通安全施設の管理に努めるとともに、住民からの要望も踏まえ、関係機関と連携して、交通環境の整備に努めてまいります。


■大野たつや

子どもたちや高齢者が安全に横断、通行ができて、ドライバーも認識しやすい、国道、県道の維持のため、今後とも可能な限りの点検による整備や補修の実施をお願いしておきたいと思います。よろしくお願いします。


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5.学校施設のバリアフリー化


■大野たつや

次に、学校施設のバリアフリー化について、お伺いしたいと思います。
昨年、文部科学省が行ったバリアフリー化の状況調査によると、全国の公立小中学校の校舎の3割以上、体育館の6割以上に車イス利用者が使用できる多機能トイレがないことが判明し、文部科学省は、学校が災害時の避難所になることが多いことなどを踏まえ、2025年度までに避難所指定学校全ての校舎、体育館を含め約95%を整備目標として、車椅子利用者が使用できる多機能トイレの整備方針を示され、整備にかかる自治体への補助金についても、来年度以降に拡充されるとのことであります。
そこで、本県の公立小中学校及び県立高等学校の車椅子利用者が使用できる多機能トイレの整備状況について、教育長にお伺いしたいと思います。


●教育長

車椅子使用者が利用できます多機能トイレを、学校施設の中に1つ以上設置している学校の割合は、公立小中学校の校舎では69.5%、体育館では43.8%、県立高等学校の校舎では65.7%、体育館では62.9%となっております。


■大野たつや

同じく文部科学省のバリアフリー化の状況調査によると、全国の公立小中学校におけるエレベーターの整備率は、校舎が約3割、体育館が約7割となっていますが、配慮の必要な児童生徒がいる学校、全てに整備することを目標に、2025年度までに校舎の約40%、体育館の約75%をそれぞれの目標と定め、整備が進められることとなっています。
そこで、本県の公立の小中学校及び県立高等学校のエレベーターの整備状況について、教育長にお伺いしたいと思います。


●教育長

エレベーターの整備状況につきましては、1階建てのみを保有する学校を含めまして、公立小中学校の校舎では20.5%、体育館では76.5%、県立高等学校の校舎では34.3%、体育館では37.1%が整備済みとなっております。



■大野たつや

学校は、避難所や選挙の投票所などにも使われる地域の重要な社会インフラでもあります。学校施設のバリアフリー化については、今後も学校現場や市町村の教育委員会との連携などを通して、学校現場のニーズを把握していただいた上で、的確な予算措置をお願いしておきたいと思います。
そこで、学校施設のバリアフリー化の予算措置について、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。


●教育長

県立学校のバリアフリー化は、基本的には、今後実施する長寿命化改修時において、計画的に進めていくこととしておりますが、移動への配慮や多機能型トイレなどが必要な児童生徒が在籍する場合などは、現場の状況も確認して、優先的に予算措置をして、整備を進めてきております。

また、公立小中学校につきましては、令和3年度から、施設のバリアフリー化に係る国の補助率が3分の1から2分の1に引き上げられる予定とお聞きしております。市町村に対しましては、引き続き、こうした国の財政措置などの情報を的確にお伝えしながら、学校施設のバリアフリー化が進められるよう、市町村の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。


■大野たつや

学校施設のバリアフリー化については、今後、国への財政支援の強化について、今、補助率も上がるということだったんですけれども、政策提言などもお願いしていただきますように、お願い申し上げたいというふうに思います。




それぞれに御丁寧な答弁を本当にありがとうございました。

最後に、この3月をもって退職されます岩城副知事を初め、県職員の皆様方のこれまでの御尽力、御功績に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。長い間の御勤務、本当にお疲れさまでした。
皆様方には、これからもお体には十分御留意されまして、今後とも御活躍を御祈念申し上げますとともに、変わらぬ御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

心からお礼を申し上げ、私の質問の一切といたしたいと思います。

本日は、ありがとうございました。



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